ブック・オフで入手したレコードの続きです。
今日のレコードは五つの赤い風船の『アルバム第5集 Part 1 New Sky』です。300円、美品でした。
1971年に発売された彼らの5枚目のオリジナルアルバムです。この『第5集』には『Part 2 Flight』があって、当初は2枚組で発売する予定でしたが、結局別々に発売されました。
この翌年に風船は解散します。「あさま山荘事件」があった年です。この事件で学生運動が沈静化していったように、フォークの世界も風船の解散が象徴するようにプロテストの世界からニュー・ミュージックへと移っていった時代でした。このレコードを見つけた時には懐かしさがこみ上げ、このアルバムは持っていなかったので即買いでした。
New Sky (アルバム第5集 Part 1)
Side A
1.時々それは
Side B
1.私は地の果てまで
2.ボクは愛など知らないし
3.たまには一度は
4.私は広い海に出る
メンバーは
Bass, Vocals – 長野隆
Piano, Organ, Vibraphone, Accordion – 東祥高
Vocals – 藤原秀子
Vocals, Guitar, Vibraphone – 西岡たかし
このレコードで特筆すべきはなんといってもA1の「時々それは」です。1面をつぶした23分に及ぶ、朗々とした曲です。詞も前衛的で、まるで実験音楽のようです。当時のロックのアルバムでは1面をつぶす曲がよくありましたが、日本のフォークでは珍しかったのではないでしょうか。
全曲西岡たかし先生のオリジナルです。
時々それは
作詞・作曲:西岡たかし
時々それは 生きのびることも 許さないし
死人の顔と 皮膚のたるみが
紫に暗い沼に向かって走って行く
一枚の皮を そこは カキ色の海が
両眼を染め あてどもなく あてどもなく
紫に暗い沼に向かって走って行く
今 生きていることすら
思い出すことは出来ない
からだは一瞬にして
バラバラにちぎれ飛んでしまい
とんでもない苦労をして 皮膚を一枚一枚
貼りあわせていくことが 今 生きている唯一の知覚と知り
紫に暗い沼に向かって走って行く
さらに皮を一枚一枚
よりていねいに張り合わせ
自身のおくれを
自身に目くばせし
何かに追われ 何かに 必死に逃げ回り
行き着く果ては 鏡の前に正座して
紫に暗い沼に向かって走って行く
何度たりとも 逃げ出しては ひずみの果てに走り去り
この歯も 一本一本 ぬいて差し上げ
張り目のスキ間に忍び込み目をふせて
何も見ないと 口にひびかせ
紫に暗い沼に向かって 死ぬまで 死ぬまで走り続ける
もぉ 負ってはこない
もぉ 負ってはこない
死ぬまではなさぬと決めた
心臓のかけらさえ
いつか鏡の前で
ハラハラとくずれ去るのを
お前は死人の顔を引きずっては
まだ明けもせぬ 町並みを歩く
走れ走れ 歩かずと走れ 鏡はわれず肌を写す
目も当てられぬ カタワの顔を引きずっては
紫に暗い沼に向かって 歩かずと走れ
ラララ・・・
やっぱりレコードはいい。
それでは今日はこの辺で。