Flying Skynyrdのブログ

映画や音楽、本についての雑文

聴き比べ  『夜明けのうた』

今日の「聴き比べ」は『夜明けのうた』です。

 

『夜明けのうた』といえばすぐに岸洋子さんの名が浮かびますが、実は最初に歌ったのは坂本九ちゃんでした。

 

この曲が岸洋子さんによってヒットしたのは1964年でしたが、元々はその前年のテレビドラマ『ぼうや』の主題歌で、主演の坂本九ちゃんが歌いました。その後レコードも出しましたが、岸洋子さんのバージョンが売れたため、この曲は岸洋子さんのオリジナルと言われるようになりました。岸洋子さんは流行歌手というよりはシャンソンなどを歌っていた歌手で、この曲も当時の流行歌とは一線を画したような楽曲でした。

坂本九ちゃんのバージョンは『夜明けの唄』というタイトルでした。作詞・作曲は岩谷時子いずみたくの黄金コンビです。

 

1965年には日活で映画化されました。浅丘ルリ子さんの主演でした。この映画で岸洋子さんがこの歌を歌っています。

 

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夜明けのうた

作詞:岩谷時子

作曲:いずみたく

 

夜明けのうたよ

あたしの心の きのうの悲しみ

流しておくれ

夜明けのうたよ

あたしの心に 若い力を

満たしておくれ

 

夜明けのうたよ

あたしの心の あふれる想いを

判っておくれ

夜明けのうたよ

あたしの心に 大きな望みを

抱かせておくれ

 

夜明けのうたよ

あたしの心の 小さな倖せ

守っておくれ

夜明けのうたよ

あたしの心に 思い出させる

ふるさとの空

 

 

残念ながら坂本九ちゃんの映像がありませんでした。

 

岸洋子さんです。

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裕ちゃん(石原裕次郎です。

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アキラ(小林旭)もカバーしています。

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佐良直美さんもカバーしました。うまい。

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椎名林檎東京事変がカバーしています。

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それでは今日はこの辺で。

 

この人の、この1枚『ゲイトマウス・ブラウン(Gatemouth Brown)/Okie Dokie Stomper』

今日の「この人の、この1枚」はゲイトマウス・ブラウン(Clarense "Gatemouth" Brown)『Okie Dokie Stomper 』です。

 

クラレンス・ゲイトマウス・ブラウンは1924年、ルイジアナ州ヴィントンで生まれました。父親がカントリーのフィドル奏者だったため、幼いころからフィドルを習いました。またギター、マンドリン、ピアノ、ハーモニカ、ドラムとなんでもこなすプレーヤーになりました。

 

彼のプロ・ミュージシャンとしてのスタートは1945年のテキサス州サンアントニオのクラブでドラマー兼歌手として出演した時からでした。

その後、1947年にアラディン・レコードにSP2枚分を録音したのが最初のレコーディングでした。このうち1枚は発売されたものの、もう1枚は中々発売されませんでした。これに怒ったゲイトマウスのマネージャー、ドン・ロビーが自らレーベルを立ち上げ、ここでレコーディングをすることにしました。これがピーコック・レコードです。ピーコックとはドン・ロビーがヒューストンで経営していたクラブ、ザ・ブロンズ・ピーコックからネーミングしました。ゲイトマウスはここに出演していました。

 

ゲイトマウスはここに1961年まで在籍し「Okie Dokie Stomp」「My Time's Expensive」などのヒット曲を生みました。

この後はマイナー・レーベルから何曲かレコーディングをしていますが、ほとんど話題になりませんでした。またテレビ番組にも出演したりしましたが、その後はミュージックシーンから姿を消しました。

 

ところが、ヨーロッパでゲイトマウスの人気が高まりました。これは白人のブルース・ブームによるものでした。1971年、フランスのアマチュアが当時ニューメキシコに住んでいたゲイトマウスを見つけ出し、表舞台へと引っ張り出しました。フランスのレーベルへのレコーディングやスイスのモントルー・ジャズ・フェスティバルへの出演もありました。そして先日紹介したプロフェッサー・ロングヘアーの『ロックン・ロール・ガンボ』のレコーディングにもギターとバイオリンで参加しました。

 

ゲイトマウスの音楽はブルースに留まらずR&B、ケイジャン、カントリー、ジャズ、ロックン・ロール、ロックと幅広いアメリカン・ミュージックを取り入れているところにその特徴があります。

 

今日のアルバム『Okie Dokie Stomper』はゲイトマウスがピーコックに残した録音の中から選曲された、日本編集のアルバムです。選曲は中村とうよう氏です。録音順に並んでいます。バリバリ全盛期のゲイトマウスのヴォーカルやギターなどが冴えています。

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A1 Didn't Reach My Goal

A2 Just Got Lucky

A3 She Walks Right In

A4 Win With Me Baby

A5 Baby Take It Easy

A6 She Winked Her Eye

A7 Sad Hour

A8 Dirty Work At The Crossroads

 

B1 You Got Money

B2 Gate Walks To Board

B3 Midnight Hour

B4 For Now So Long

B5 Okie Dokie Stomp

B6 Gate's Salty Blues

B7 Ain't That Dandy

B8 Just Before Dawn

 

メンバーは

Guitar,Violin, Vocals - Clarence Gatemouth Brown

Alto Saxophone - Irvin Reason , Johnny Parker

Alto Saxophone, Tenor Saxophone - Wilmer Shakesliner

Baritone Saxophone - Allen Clark , Bob Little , Fred Ford

Bass - Carl Lott , Joe Toussaint, Johnny Parker, Ray Johnson

Drums - Duke Barker, Ellis Bartee, Emile Russell, Harold Easton, San Frisco Jeff

Orchestra - Jack McVea Orchestra

Piano - Carl Owens , Clarence Green, Jimmy McCracklin , Paul Monday

Tenor Saxophone - Bill Harvey, Johnny Board, Pluma Davis

Trombone - Al Grey

Trumpet - George Alexander, Joe Scott, Nathan Woodard

 


Clarence "Gatemouth" Brown - Baby Take It Easy

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Clarence 'Gatemouth' Brown - Gate's Salty Blues

 

それでは今日はこの辺で。

 

聴き比べ ジョン・レノンの『ラヴ(Love)』

今日の「聴き比べ」はジョン・レノン(John Lennon)『ラヴ(Love)』です。

 

この曲はビートルズ解散後のジョン・レノンの初の単独アルバム『ジョンの魂(John Lennon/Plastic Ono Band)』に収録されました。1970年でした。ジョンのアコギとフィル・スペクターのピアノだけのシンプルな演奏でした。

 

この曲がシングルカットされたのは1982年のことでした。

一方、レターメン(The Lettermen)は1971年にカバーし、これがヒットしました。日本ではジョン・レノン・バージョンよりこちらの方が有名になったくらいです。

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Love

By  John Lennon

 

Love is real, real is love

Love is feeling, feeling love

Love is wanting to be loved

 

Love is touch, touch is love

Love is reaching, reaching love

Love is asking to be loved

 

Love is you, you and me

Love is knowing we can be

 

Love is free, free is love

Love is living, living love

Love is needing to be loved

 

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レターメンです。

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今は亡き尾崎紀世彦さんが歌っています。

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それでは今日はこの辺で。

 

聴き比べ 『レットキス(ジェンカ)』

今日の「聴き比べ」は『レットキス(ジェンカ)』です。

 

この曲を知ったのは、小学生だったか、中学生だったか忘れましたが、体育の授業だったか、運動会の練習だったかで、フォークダンスの練習にこの曲が使われていたのです。歌っていたのは坂本九ちゃんです。

 

ところが、調べてみると、この曲は元々フィンランドの民謡で、この曲に合わせてフォークダンスを踊るための曲でした。ジェンカとはフィンランドフォークダンスのことらしいです。男女ペアになって踊るフォークダンスもそうでしたが、キスという言葉に照れくささがあったような記憶があります。まだまだウブな時代でした。

 

そして、この曲を日本で最初にレコーディングしたのはミッチ―こと青山ミチです。

彼女はこのブログでも何度か「聴き比べ」に登場しています。1965年でした。この時の訳詞はなかにし礼でした。

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翌1966年に坂本九ちゃんがレコーディングして大ヒットとなりました。この時の作詞は永六輔でした。タイトルも『レットキス(ジェンカ)』でした。一般には『ジェンカ』と呼ばれていたと記憶しています。

 

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レットキス ジェンカ

作詞:ラウノ・レティネン

訳詞:永六輔

作曲:ラウノ・レティネン

 

レッツキッス 頬よせて

レッツキッス 目を閉じて

レッツキッス 小鳥のように

くちびるを 重ねよう

 

レッツキッス 照れないで

レッツキッス つつましく

レッツキッス はじめてふれる

君のくちびる

 

ララララ ラララ はじめてキスをする

ララララ ラララ 踊ろよこれがジェンカ

 

レッツキッス 若者よ

レッツキッス 恋人よ

レッツキッス 愛するしるしだ

くちづけに乾杯

 

まずは本場のフィンランドから。

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踊り方を。懐かしい! この映像の歌は橋幸夫です。これまた歌詞が違います。

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ミッチ―です。

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坂本九ちゃんバージョンです。これが一番馴染み深いです。

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それでは今日はこの辺で。

 

映画『シェルブールの雨傘』を観る

先日のキネ旬シアターはシェルブールの雨傘でした。

 

 

監督:ジャック・ドゥミ

音楽:ミシェル・ルグラン

出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ニーノ・カステルヌオーヴォ

製作:1964年  フランス・西ドイツ

 

ビデオまで含めると、もう何度見たかわからないほど観た映画ですが、キネ旬シアターでまたしても上映されました。迷わず行ってしまいました。

 私がこの映画を愛するのはやっぱり音楽なのでしょうか。カトリーヌ・ドヌーヴの魅力や悲しい恋の物語も好きなのですが、やっぱり音楽の素晴らしさなのだと改めて感じさせられました。何度観ても毎回同じ場面で涙が流れてしまいます。涙腺が弱くて困ります。おじさん達も涙を流している人が目立ちました。

内容については今さら書く必要もないと思います。過去の記事を掲載します。振り返ってみたら「聴き比べ」を含め、しつこいくらい書いていました。そのほんの一部だけ。

 

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それでは今日はこの辺で。

 

聴き比べ 『ミスター・ロンリー(Mr. Lonely)』

今日の「聴き比べ」はミスター・ロンリー(Mr. Lonely)』です。

 

1964年の全米ナンバーワンに輝いた、ボビー・ヴィントン(Bobby Vinton)のヒット曲です。

私のようにちょっと後の世代はレターメン(The Lettermen)の方が馴染み深い曲です。

 

ボビー・ヴィントンは『涙のくちづけ(Sealed with a kiss)』の「聴き比べ」でも登場しましたが、やはりレターメンのカバーが有名でした。この『ミスター・ロンリー』もレターメンによって我々の世代にも浸透しました。

さらに、1967年に始まったFM東京の番組『ジェット・ストリーム』のテーマ曲として有名になりました。城達也のナレーションが懐かしいです。この時の演奏はフランク・プウルセル楽団でした。

 

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Mr. Lonely

By  Bobby Vinton , Gene Allan

 

Lonely, I'm Mr. Lonely

I have nobody for my own

I am so lonely, I'm Mr. Lonely

Wish I had someone to call on the phone

 

Now I'm a soldier, a lonely soldier

Away from home through no wish of my own

That's why I'm lonely, I'm Mr. Lonely

I wish that I could go back home

 

Letters, never a letter

I get no letters in the mail

I've been forgotten, yes, forgotten

Oh, how I wonder, how is it I failed

 

Now I'm a soldier, a lonely soldier

Away from home through no wish of my own

That's why I'm lonely, I'm Mr. Lonely

I wish that I could go back home

 

ボビー・ヴィントンから。

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レターメンです。

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懐かしのジェット・ストリームです。城達也さんです。高校生時代が蘇ります。

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それでは今日はこの辺で。

 

この人の、この1枚『プロフェッサー・ロングヘアー(Professor Longhair)/Rock'n' Roll Gumbo』

今日の「この人の、この1枚」はプロフェッサー・ロングヘアー(Professor Longhair)『Rock'n' Roll Gumbo』です。

 

プロフェッサー・ロングヘアという変な名前を持つ爺さんは、本名ヘンリー・ローランド・バードといい、1918年ルイジアナ州ボガルーサで生まれています。

ニューオリンズ・ブルース、R&Bを代表するピアニストでありヴォーカリストです。

同じくニューオリンズR&Bを代表するミュージシャンのスマイリー・ルイスやファッツ・ドミノとは少し趣が違います。というのはプロフェッサーの音楽にはラテンのリズムが入っていることです。マンボやルンバ、カリプソまで幅広いR&Bやロックン・ロールが特徴です。アラン・トゥーサンドクター・ジョンなどは彼の熱烈な信奉者です。

 

プロフェッサー・ロングヘアは15歳の頃からピアノ弾き始めます。やがて小さなクラブでピアノを弾くようになります。

1940年代の終わりごろ、カレドニアのクラブでデイヴ・バーソロミュー・バンドの演奏を聴きに行った折に、彼らの休憩時間に彼はステージに上がって勝手にピアノを弾き始めてしまいました。ところがこれが大うけで専属ピアニストになってしまいました。そして4人のバンドメンバーが全員長髪だったためバンド名を「プロフェッサー・ロングヘアとフォーヘアーズ」と名乗りました。おかげでデイヴ・バーソロミューはクビになってしまいました。デイヴ・バーソロミューのバンドには後にファッツ・ドミノが加わるのです。

1949年、スター・タレント・レコードに初めてのレコーディングをします。名義は「プロフェッサー・ロングヘア&ザ・シャッフリング・ハンガリアンズ」でした。「Mardi Gras in New Orleans」を含む4曲でした。しかし、このレーベルはすぐに倒産してしまったため、マーキュリー・レコードで再び録音、「Bald Head」がヒットしました。しかしここもトラブルがあり、アトランティックでまた録音とレコード会社を転々としました。

1949年から53年頃まで次々と録音しました。そして彼は名前がその都度代わります。ロイ・バード&ヒズ・ブルース・スカラーズ、ロイ“ボールド・ヘッド”バード、ローランド・バード、プロフェッサー・ロングヘア&ヒズ・ブルース・スカラーズ、プロフェッサー・ロングヘア&ザ・クリッパーズなどなど。これは契約上の問題をクリアーするためでした。

しかし、この期間が全盛期でした。この後はレコーディングするも全くヒットには恵まれませんでした。ところが1970年代になるとイギリスのブルース専門誌『ブルース・アンリミテッド』の編集長が彼を取り上げ、かつての録音をLPとして発売したところ、これが評判を呼び見事カムバックしたのです。

 

この『Rock'n' Roll Gumbo』はこのような経緯で発売されました。録音年月は不明です。おそらく1973~74年頃と思われます。日本発売は75年でした。

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Side A

1.Junco Partner

2.Meet Me Tomorrow Night

3.Doin' It

4.How Long Has That Train Been Gone

5.Tipitina

6.Rockin' Pneumonia

 

Side B

1.Jambalaya

2.Mean Ol' World

3.Stag-O-Lee

4.Mess Around

5.Hey Now Baby

6.(They Call Me) Doctor Professor Longhair

 

メンバーは

Piano, Vocals - Professor Longhair

Bass - Julius Farmer

Congas - Alfred "Uganda" Roberts

Drums - Sheba

Guitar, Violin - Clarence "Gatemouth" Brown

Tenor Saxophone - Jerry Jumonville

Trumpet - Steve Madaio

 

プロデュースはPhilippe Raultです。

 

ギターとバイオリンでゲイトマウス・ブラウンが参加しています。

 

オリジナル7曲、カバーが5曲の構成です。「Tipitina」ドクター・ジョンもアルバム『Gumbo』でカバーしていますハンク・ウィリアムス「Jambalaya」までカバーしています。幅広いです。

 

プロフェッサー・ロングヘアーは1980年に61歳で亡くなりました。


Junco Partner


Tipitina


Jambalaya


Mean Ol'World

 

それでは今日はこの辺で。