今日の「聴き比べ」は『時代遅れの酒場』です。
この曲は高倉健さんの映画『居酒屋 兆治』の主題歌になりました。
監督:降旗康男
原作:山口 瞳
制作:1983年 東宝
健さんと大原麗子さんの恋が何とももどかしく切ない映画でした。健さんの無口で言いたいことも言わないじれったさと、それをじっと支える妻、加藤登紀子さんの関係もなかなかのものでした。
この曲の作詞・作曲は映画にも出演した加藤登紀子さんでした。映画よりも一足先にシングル盤が発売になりました。
時代遅れの酒場
作詞・作曲 加藤登紀子
この街には 不似合いな
時代おくれの この酒場に
今夜もやって来るのは
ちょっと疲れた男達
風の寒さをしのばせた
背広姿の男達
酔いがまわればそれぞれに
歌の一つもとびだして
歌を歌えば血がさわぐ
せつなさに酔いどれて
気がつけば窓のすき間に
朝の気配がしのび込む
どこかに何かありそうな
そんな気がして
俺はこんなところにいつまでも
いるんじゃないと
この町には住みあきて
俺の女もどこかへいった
あいつ今頃どこでどうして
どんな男といるんだろう
夢の苦さを知りもせず
夢をさがしているんだろ
あああ、どこかに何かありそうな
そんな気がして
俺はこんなところに何時までも
居るんじゃないと
この町には不似合いな
時代おくれのこの酒場に
今夜もやってくるのは
違う明日を待つ男
今夜もやってくるのは
昨日を捨てた男たち
そして映画の方は健さんが歌いました。健さんの歌は上手い下手は別にして、実に味わい深く、心に響きます。
冒頭に「人が思うことは誰にも止めることはできない・・・」というセリフが入ります。
何度聴いてもジンときます。
高倉健さんも大原麗子さんも伊丹十三さんも池辺良さんも佐藤慶さんも左とん平さんも大滝秀治さんも、もういません。
それでは今日はこの辺で。