昨日のキネ旬シアターは『幸せへのまわり道』でした。
監督:マリエル・ヘラー
主演:マシュー・リス、トム・ハンクス
製作:2019年 アメリカ合衆国 2020年 日本公開
実話をもとにしたヒューマンドラマです。トム・ハンクス演じるフレッド・ロジャースは実在の子供向けテレビ番組の人気司会者です。2003年に74歳で亡くなっています。
話の方はというと、
雑誌『エスクァイア』の記者ロイド・ヴォーグルはジャーナリストとして華々しいキャリアを積んできました。愛する妻と生まれたばかりの子供と暮らしています。
ある日、妻のアンドレアと共に姉の結婚式に参列しました。そこには絶縁状態になっていた父親の姿がありました。父親はロイドに近づくと、亡くなった母親の話を始めました。ロイドは怒り、父親を殴ってしまいます。ロイドは家庭を顧みず自分たち姉弟を見捨てた父親を許せずすぐに暴力を振るうなど心を病んでいたのです。
そこでエスクァイア誌の上司はロイドに対し子供番組の人気司会者フレッド・ロジャースの記事を書くように命じます。ロイドは慣れない仕事で戸惑いますが、ロジャースにインタビューするために仕事場を訪れます。フレッドの方も攻撃的な記事を書くロイドに興味をもっており歓迎してくれました。
さっそくインタビューを開始しますが、ロジャースは逆にロイドに質問を浴びせます。ロジャースにはロイドが抱える悩みを見抜いたのです。ロジャースとの会話には否定はありません。全て肯定的です。ロイドはフレッドの持つ不思議な魅力に惹かれていきます。そして二人は公私にわたって交流を深めていきます。
ある日、ロイドが帰宅すると父親が新しい妻を伴って遊びに来ていました。ロイドは父親に辛らつな言葉を投げかけ、帰れといいます。父親は興奮して倒れ、病院へ担ぎ込まれます。一命はとりとめますが、ロイドは看病を放棄しフレッドの元へ向かいます。
フレッドと話すうちにロイドの心が変化を起こしていきます。そして父親と向き合う決心をします。父親は退院後も寝たきりになっていました。その姿を見ながら、ロイドに父親を許す気持ちが生まれ、二人は和解します。家族全員が集まった父親の家をフレッドが訪れ、記念写真を撮ってくれます。そして帰り際、フレッドは父親に何事か囁きます。父親は亡くなりますがロイドはこれまでの仕事中心の生活から家庭中心の生活に変える決心をするのでした。
特別な山場もなく、淡々と流れていく映画。しかし、あっという間の1時間50分。これは一つにはトム・ハンクスの演技力があるのでしょう。観ている者が優しい気持ちになっていきます。「怒りを抑えるのは許すことだ」、そんな意味のことを言っていたと思いますが、これがなかなか難しい。ましてや肉親となるとなおさら厄介です。この映画のようにすっきりと解決することは現実ではなかなかないのでしょうが、心温まる映画であることは間違いありません。たまにはこのようなほんわかした映画もいいものです。
名言がたくさんありましたが、すっかり忘れてしまっています。忘れっぽさに歯止めがかかりません。困ったものです。
ところでトム・ハンクスも新型コロナに罹患しましたが、もう大丈夫なのでしょうか。
ラストで本物のフレッド・ロジャースの映像が流れます。雰囲気がよく似ています。
トム・ハンクス主演『幸せへのまわり道』 8月28日(金)劇場公開
それでは今日はこの辺で。