先日のキネ旬シアターは『水を抱く女』でした。
出演:パウラ・ベーア、フランツ・ロゴフスキ、マリアム・ザリー
製作:2020年 イギリス・ドイツ 2021年 日本公開
「哀しき宿命を背負った魅惑的な水の精、ウンディーネの神話をモチーフにした」映画ということです。
ベルリンの都市開発を研究する歴史家ウンディーネは小さなマンションに一人暮らしをしながら、博物館のガイドとして働いています。ある日、ウンディーネは恋人のヨハネスに好きな女性が出来て別れを切り出され、悲嘆に暮れます。ウンディーネは「別れるなら殺す」と言います。
そして、彼と別れたその日にふとしたことからちょうど博物館でウンディーネのガイドを聞いていた潜水作業員のクリストフと知り合います。間もなく二人は惹かれ合い、愛し合うようになります。
付き合い始めてしばらくして、二人で抱き合いながら歩いていると、ヨハネスがこれまた新しい恋人と手をつないで歩いてきてすれ違います。お互いに気がつきます。すると早速ヨハネスから呼び出され、復縁を迫られます。ウンディーネは無言のまま立ち去ります。
その日の夜にクリストフから電話があります。クリストフは「初めて出会った日は本当は他の男を待っていたんだろう」と詰問されます。ウンディーネは否定しますが、クリストフは怒って電話を切ってしまいます。それっきり連絡が付かなくなってしまいます。
不安になったウンディーネはクリストフの潜水作業の現場に向かいます。すると事故でクリストフは脳死状態になって病院に運ばれていました。付き添いの女性から「12分間脳死状態が続き意識は戻らないだろう」と告げられます。ウンディーネは夕べの電話での話をすると、その女性は「それはあり得ない、事故があったのは昨日の昼間です。夜に話ができるはずがありません」と信じられないことを言うのでした。
放心状態のまま帰宅したウンディーネは夜になってヨハネスの自宅を訪れ、プールで泳いでいるヨハネスに近づきプールに沈めて殺害します。その後、クリストフの作業現場の池に行き、そのまま沈んでいくのでした。その瞬間クリストフの意識が戻ります。クリストフは血眼になってウンディーネを探し、マンションや博物館を訪ねますがとうとう見つかりませんでした。
それから2年の月日が経ちました。クリストフは付き添ってくれた女性と結婚し、そのお腹には子供が宿していました。事故から2年が経って、クリストフも潜水の仕事に復帰することになりました。そしてその最初に日、池に潜ると水中でウンディーネの姿を見たのです。しかし、カメラには写っていませんでした。
その日の夜に、クリストフはそっと家を抜け出すと池に向かいました。気がついた妻は必死に止めますが、クリストフは池に沈んでいきました。悲しみに暮れた妻の前に、クリストフが戻ってきました。その手にはかつてクリストフがウンディーネにプレゼントした銅像が握られていたのでした。
全く勉強不足でウンディーネとは四代精霊の一つ「水の精」の神話だということなど全く知りませんでした。予備知識ゼロでした。
ウィキペディアで調べてみると、「ウンディーネは湖や泉に住んでおり、性別はないがほとんどの場合美しい女性の姿をしていて、魂はないが男性と結婚すると魂を得る。しかし、これには大きな禁忌が伴うという。夫が不倫をした場合は、ウンディーネは夫を殺さねばならぬ。そして水に帰って魂を失う。」ということらしいです。
なるほど、これを読むと少しは納得しました。ヨーロッパではこの神話に基づく小説や演劇、バレエ、オペラなどでお馴染みのお話らしいです。この映画はその神話の現代版というところでしょうか。
それにしてもウンディーネはやはり人間ではなかったのでしょうか。モヤモヤしています。
それでは今日はこの辺で。