先日のキネ旬シアターは『パワー・オブ・ザ・ドッグ』でした。
監督:ジェーン・カンピオン
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、ジェシー・プレモンス、キルスティン・ダンスト、コディ・スミット=マクフィー
製作:2021年 ニュージーランド・オーストラリア他
ベネツィア国際映画祭銀獅子賞受賞作です。
1920年代のアメリカ・モンタナ州を舞台としたヒューマン・サスペンス・ドラマといったところでしょうか。
大牧場経営をするフィルとジョージの兄弟。兄のフィルは大学出のエリートで楽器もできるインテリですが、反面粗暴で残酷な一面を持ち、差別意識が強く女性蔑視の持ち主です。「男は男らしく」をモットーとしたような男です。一方、弟はまじめで誠実、優しい心の持ち主ですが、兄はそんな弟に苛立っています。
そんな兄弟が町のレストランを経営する未亡人ローズに出会います。息子のピーターが店を手伝っています。フィルはなよなよしたピーターを見てバカにします。フィルにとっては女性はおろか女性的な男性も気に入らないのです。その様子を見たローズは泣いてしまいます。ジョージは彼女を慰めます。やがて彼女に惹かれるようになっていきます。そしてジョージはローズと結婚することになったのです。
ピーターはジョージの金で大学の医学部へ進学することになり寮に入ります。ローズは一人で嫁いできます。フィルはローズが金のためにジョージに近づいたと勘ぐり、ローズに冷たく当たります。ローズはフィルの態度に不安を感じ、次第に酒に溺れるようになっていきます。
大学の夏休みになってピーターが帰省すると、ローズはアルコール依存症になっていました。しかし、ローズはジョージにはその不安な気持ちを打ち明けることはしていませんでした。フィルは帰省したピーターにも嫌がらせをするようになりました。
ある時、ピーターはフィルの秘密を見つけます。フィルは同性愛者だったのです。それを知られたフィルは急にピーターに優しく接するようになったのです。フィルはピーターを意識していたのです。ピーターは自分の父親が自殺したことなどもフィルに話します。
フィルとピーターが急接近することにローズは不快と不安に苛まれます。ピーターは自分が母親を守ると言い、ローズを宥めます。ピーターには母親のアルコール依存症の原因がフィルにあるのがわかっていました。そしてピーターはある計画を思いつくのでした・・・。驚くべき結末が待っています。
途中からサスペンスになりますのでネタバレはやめときましょう。
フィルとジョージの関係、ローズとピーターの関係、この辺りも何やら奥の深そうな関係が想像できます。映画は詳しく語らず、観る側の想像力を掻き立てます。
タイトルの「パワー・オブ・ザ・ドッグ」は映画のラストでピーターが読む旧約聖書の言葉「私の魂を剣から、私の愛を犬の力から解き放してください。」からきています。
さて、この意味するところは何なのでしょうか?
それでは今日はこの辺で。