先日のキネ旬シアターは『老後の資金がありません』でした。
監督：前田哲
原作：垣谷美雨
製作：２０２１年 日本
老後の資金を巡って巻き起こるコメディー映画です。
主婦の後藤篤子はサラリーマンの夫、フリーターの娘、大学生の息子との４人暮らし。自分もパートとして働いています。篤子は安泰な老後を送りたいと、日々節約に余念がありません。
ある日、夫の妹から舅が危篤との一報が。義妹からはもしもの時の葬儀費用を頼まれます。篤子は自分らも月々９万円の仕送りをしていると反論しますが、夫は快諾。葬儀費用その他諸々で４００万の出費。
そんな時、篤子はパートの契約満了を言い渡されます。さらに夫から電話が入り、「会社がもうだめらしい」との事。二人して失業です。さらに退職金もないとの事。当分は失業保険で食いつなぐしかありません。
さらに娘の結婚が決まりました。相手は金持ちで派手婚を希望。しかも結婚費用は折半。娘の貯金はなし、結局３００万を負担することに。７００万あった貯金はみるみる底をつきます。
さらにさらに、義理妹とのちょっとしたやりとりから姑を引き取ることになってしました。派手好きな姑が同居することになりますます家計は苦しくなるばかり。追い打ちをかけるように姑がオレオレ詐欺に引っ掛かり、娘の結納金１００万円をだまし取られてしまったのです。
そして、とうとう金に目がくらみ友人が持ち掛けてきた年金詐欺に姑と共に加担してしまうのですが・・・。
果たしてこの一家の運命はいかに・・・。ネタバレはやめときます。
監督の前田哲は以前『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』を観ていました。この作品もコメディタッチの感動作品でした。
映画の冒頭でから評論家の荻原博子がテレビで「老後の資金は２０００万円ではとても足りません。４０００万円が必要です」というコメントが流れます。
そういえば政府が発表した「老後資金は２千万円必要」というニュースが流れた時には、「えっ、そんなに！」なんて思いましたが、冷静に考えると平均寿命が延びる一方の現実からすれば、とても２千万円では足りないくらいかもしれません。国家予算の３割は社会保障費です。年金は減らされ、医療費、介護費は増える一方。人口減少、賃金は上がらず、ＩＴ技術も後れぎみ、この先の見通しも明るくありません。細々とした年金暮らしをする身にとっては苦笑いする映画でした。救いは映画の結末でした。
天海祐希さん、面白い。松重豊さんもいい味出しています。草笛光子さんは凄い！
それでは今日はこの辺で。
