今日の「この人の、この1枚」はオーティス・ラッシュ(Otis Rush)の『Right Place, Wrong Time』です。
今回もまたオーティス・ラッシュです。1976年にリリースされたアルバムです。前回の記事で若干触れたキャピトル・レコードに1971年にレコーディングしたアルバムをキャピトルがレコード化せずにいたのを、オーティスが買い取り、それを日本のインディーズ・レーベル、P-ヴァイン・スペシャルが先日の記事で紹介したカルヴィン・リーヴィに続く第2弾として発売しました。5年間眠っていました。
これ以前にオーティスは1969年にコティリオン・レコードに移籍し、『Mourning in The Morning』をリリースしました。このアルバムはオーティスにとって最初のオリジナル・アルバムでした。プロデュースには当時エレクトリック・フラッグ(Electric Flag)のマイク・ブルームフィールド(Mike Bloomfield)とニック・グレイヴナイツ(Nick Gravenites)を迎え、バックはマッスルショールズのお馴染みのミュージシャンが固めました。さらにギターでデュアン・オールマン(Duan Allman)も参加しました。
しかし、このアルバムはロック、ソウル色が強く失敗作の烙印を押されれしまいました。それでも「ギャンブラー・ブルース」のような傑作もありました。
その不評の反省からか、キャピトルに移って、プロデュースに再びニック・グレイヴナイツを迎え録音したのが『Right Place, Wrong Time』です。しかし、キャピトルはレコード化を拒みました。オーティスはキャピトルから版権を買い取り、P-ヴァイン・スペシャルからリリースされ、すぐその後アメリカのブルフロッグ・レコードからリリースされました。この前年にオーティスは日本の『第3回ブルース・フェスティバル』に参加するために来日し大歓迎を受けたことで日本でのリリースを承諾したのではないでしょうか。
このアルバムはコブラ時代以降の最高傑作として今でも語り継がれています。しっかりとブルースに戻ってきました。マーク・ナフタリンやジョン・カーンも参加しています。日本盤とアメリカ盤ではジャケットが違っています。
Side A
1.Tore Up
2.Right Place, Wrong Time
3.Easy Go
4.Three Times A Fool
5.Rainy Night In Georgia
Side B
1.Natural Ball
2.I Wonder Why
3.Your Turn To Cry
4.Lonely Man
5.Take A Look Behind
レコーディング・メンバーは
Bass Guitar – Doug Killmer, John Kahn
Drums – Bob Jones
Organ – Ira Kamin
Piano – Mark Naftalin
Rhythm Guitar – Fred Burton
Saxophone [Alto] – Hart McNee
Saxophone [Tenor] – Ron Stallings
Trumpet – John Wilmeth
Vocals, Guitar – Otis Rush
A5の「Rainy Night in Georgia」はトニー・ジョー・ホワイトのカバーでこのアルバムの中では異色の曲になっています。
残念ながらオーティス・ラッシュは2018年に84歳で亡くなりました。
キャリアの割にはレコード数が極めて少ない、稀有なミュージシャンでした。しかし、人気は絶大で、彼に影響を受けたミュージシャンは数多くいます。エリック・クラプトン、ピーター・グリーン、マイク・ブルームフィールド、スティーヴィー・レイ・ヴォーンなどなど。
5.Otis Rush - Rainy Night in Georgia
それでは今日はこの辺で。