Flying Skynyrdのブログ

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オランダの哀歌 『エレジー(Elegy)』

HM/HRがオルタナグランジ攻勢で苦戦を強いられていた1990年代前半に、オランダからCDデビューしたエレジー(Elegy)は正に日本人受けする、その名の通りメロディアスなバンドでした。

 

エレジーの結成は古く、1982年とも1986年とも言われています。しかし、世に知られるようになったのは1987年のドイツのコンテスト、HMニューカマー・フェスティバルでグランプリを獲得したことです。

しかし、その後もメンバーが固まらず、中心メンバーのヘンク・V・D・ラーズ(Henk Van Der Laars,g)とアーノ・ヴァン・ブラッセル(Arno Van Brussel,g)エドワード・A・ボヴィンガ(Eduard A.Hovinga,vo)マーティン・ヘルマンティル(Martin Helmantel.b)セルジオ・メルゼン(Sergej Meeuwsen,ds)、それにトニー・ヴォン・ダー・ストローム(Ton Von Der Stroom,key)が揃ったのは1991年のことでした。

 

1992年にデビューアルバム『迷宮の夢(Labyrinth Of Dreams)』をレコーディングし、1993年のリリースとなりました。

これは日本独自のジャケットです。

明らかにクインーズライク(Queensrÿche)を意識した、プログレッシブ・メタルになっています。ハロウィーン(Helloween)も意識したといいますが、彼らほどのスピード感はありません。メロディー重視の楽曲と言った方がいいでしょう。エドワードのハイトーンヴォイスが効いてます。それにツインギターも聴かせどころがあります。

 

しかしここで早くもトラブル発生。メンバー3人が脱退してしまいます。ギタリストのアーノ・ヴァン・ブラッセル、ドラマーのセルジオ・メルゼン、キーボードのトニー・ヴォン・ダー・ストロームがレーベルとの方針の違いから脱退してしまいます。バンド継続の危機に陥ります。

しかし、新しいメンバーを加え再出発を図ります。新メンバーはギルバート・ポット(Gilbert Pot ,g,key)ダーク・ブルイネンバーグ(Dirk Bruinenberg,ds)です。

そして1994年にセカンドアルバム『Supremacy』を発表します。

前作に比べプログレ感が増したような、疾走感も増したような、もちろん泣きのメロディーも健在です。オープニングの疾走感はハロウィーン化しています。

パワーアップしたエレジーが見られます。

 

翌1995年にはサードアルバム『Lost』をリリースします。

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新メンバー、ゲーリック・ハーガー(Gerrit Hager,key)を加わりました。またまたパワーアップしました。メロディアス・ハードが一段と冴え、ポップな曲まで登場。プログレ感も維持しながらどんどん幅が広がります。

 

ここで再びエレジーに危機が訪れます。こともあろうにヴォーカリストエドワード・ボヴィンガが脱退してしまったのです。エレジーの看板を失ったようなものです。

しかし、ヘンクは名うてのヴォーカリストイアン・パリー(Ian Parry,vo)を連れてきました。ギルバート・ポットもバンドを去りました。

そして1996年のミニアルバム『Primal instinct』を挟んで、1997年には4作目『State of mind』をリリースします。

このアルバムはヘンク、イアン、マーティン、ダークの4人編成となりました。

イアン・パリーの加入によってバンドは新しく生まれ変わったようです。やはりヴォーカルが変われば、変わります。エドワードのハイトーンヴォイスからイアン・パリーの落ち着いた、さすがベテラン感のあるヴォーカルは一層エレジーのメロディーを引き立たせます。

個人的にはイアン・パリー加入後のアルバムの中ではこれが最高傑作だと思っています。

 

翌1998年には『Manifestation of Fear』をリリースします。

このアルバムからクリス・アリスター(Chris Allister,key)が加わります。

このアルバムは評判が芳しくありませんでした。しかし、思うにそれほど酷いアルバムでもありません。確かにプログレッシブ感は減っていますが、別に嫌いではありません。

 

ここでなんとエレジーを引っ張てきたヘンク・V・D・ラーズが退団してしまいます。さらに前作で加入したクリスも脱退します。代わりにパトリック・ロンダット(Patrick Rondat,g)が加入します。

そして2000年に『Forbidden Fruit』をリリースします。

この中の4曲は ヘンク・V・D・ラーズの置き土産でした。ギターがフランス人のパトリックに替わっただけという感じです。しかし、このギタリストがなかなか凄い。フランスでも指折りのギタリストで、経歴を見ただけでもかなりのキャリアを積んだギタリストということです。エレジーが新境地を開くのはこの後になります。

 

2002年に7作目『Principles of Pain』をリリースします。

このアルバムではパトリック・ロンダットの手になる曲が4曲含まれています。プログレッシヴ間はかなり薄れてきています。これはバンドの方向性に関しパトリックの影響が大きいことを示しています。新たなエレジーの始まりです。と思ったのですが・・・

 

しかし、この後エレジーは活動を休止してしまいます。現在も休止中です。

その後の情報は判りません。

もう少しキャッチーさがあればもっともっと売れたバンドだと思います。  

 

実はエレジーの記事はとっくに書いたつもりでいたのですが、書いていませんでした。ということで遅ればせながら書いてみました。忘れっぽくていけません。

 


Elegy - The grand change


ELEGY - Windows Of The World


Elegy - Always With You


ELEGY -Visual Vortex

 

それでは今日はこの辺で。