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この人の、この1枚『オーティス・ラッシュ(Otis Rush)/This One's A Good 'Un』

今日の「この人の、この1枚」はオーティス・ラッシュ(Otis Rush)『This One's A Good 'Un』です。

 

オーティス・ラッシュは1956年にレコード・デビューしたブルースマンです。8歳のころからギターを習い始め、シカゴのサウスサイド、ウェストサイド双方のクラブでプレイしていました。

マディ・ウォーターズ後のシカゴ・ブルースの代表的ブルースマンでした。シカゴ・ブルースの後継者としてはマジック・サムバディ・ガイなど多彩なブルースマンもいましたが、オーティスは一歩抜き出た存在で、ポストB.B キングの筆頭でした。

しかし、そのレコーディング数は極めて少なく、B.B キングとの差は歴然でした。これは多分にオーティスの表に出たがらない内向的な性格と、レコード会社との関係が大きかったと思います。逆にレコードが少ないということがオーティスの人気を高めたのかもしれません。

1956年の最初のシングル「I Can't Quit You Baby」がいきなりビルボードR&B部門の6位になりました。その1956年から58年にかけてのオーティスの一番脂が乗りきっていたと言われるコブラ・レコード時代の音源を集めたコンピレーション・アルバムが本日の『This One's A Good 'Un』です。これは1968年のリリースです。イギリスのブルー・ホライズンからリリースされましたが、すぐに廃盤となり入手困難なレコードとなりました。世間では世紀の名盤と囁かれました。日本でこのレコードが発売されたのは日本でも黒人ブルース・ブームが沸き起こった1973年でした。コブラ時代のシングル8枚を収録したアルバムです。

この後コブラの社長が亡くなりコブラは倒産、オーティスはチェス・レコードに移籍します。ここでは8曲を録音しますが、シングルとしてレコード化されたのは2枚だけでした。名曲「So Many Roads, So Many Trains」がありました。後にアルバート・キングとのコンピレーション『Door To Door』に収録されました。その後もデューク・レコード、ヴァンガード・レコード、コティリオン・レコード、キャピトル・レコードと移籍しますがまともにレコード化されたのは1969年のコティリオン・レコードでの初めてのオリジナル・アルバム『Mourning in The Morning』くらいでした。キャピトル・レコードに至ってはアルバム1枚分を録音したにもかかわらずレコード化されませんでした。この辺のことは別の機会に書きたいと思います。

いずれにしても、幻の名盤と騒がれ、日本でも絶大なる人気を誇ったオーティス・ラッシュのコブラ時代の音が聴けるということで待ちに待ったアルバムでした。

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Side A

01.Double Trouble

02.Jump Sister Bessie

03.She's A Good 'Un (Take A)

04.Checking On My Baby (Take A)

05.Sit Down Baby

06.Love That Woman

07.Keep On Loving Me Baby (Take B)

08.Keep On Loving Me Baby (Take A)

09.My Baby Is A Good 'Un

10.If You Were Mine

 

Side B

1.I Can't Quit You Baby (Alt. Take)

2.All Your Love (I Miss Loving)

3.Groaning The Blues (Alt. Take)

4.It Takes Time 2:40

5.Violent Love 2:25

6.Three Times A Fool (Alt. Take)

7.My Love Will Never Die (Alt. Take)

8.She's A Good 'Un (Take B)

 

レコーディング・メンバーは

Bass – Willie Dixon (tracks: A2 to A6, A10, B1, B3 to B8)

Drums – Al Duncan (tracks: A5, B1, B5, B7), Fred Below (tracks: A3, B6, B8), Odie Payne (tracks: A1 to A3, A6 to A9, B2, B6, B8)

Guitar – Jody Williams (tracks: A10, B3), Louis Miles (tracks: A4, B4), Reggie Boyd (tracks: A3, B6, B8)

Guitar, Vocals – Otis Rush

Harmonica – Shakey Horton* (tracks: A2, A5, A6, A10, B1, B3)

Piano – Little Brother Montgomery (tracks: A2, A4, A6, B4)

Piano, Guitar – Ike Turner (tracks: A1, A7 to A9, B2), Lafayette Leake (tracks: A3, A5, B1, B3, B5 to B8)

Saxophone [Tenor, Baritone] – Harold Ashby (tracks: A2 to A6, A10, B1, B3 to B8), Ike Turner Band (tracks: A1, A7 to A9, B2)

Saxophone [Tenor] – Lucius Washington (tracks: B5, B7)

 

A2、A10、B1はウィリー・ディクソンの曲で、その他はオーティス・ラッシュの曲です。

完璧なマイナーブルース「ダブル・トラブル」や「オール・ユア・ラヴ」など多くのロッカーにカバーされている曲もあります。

 


I Can't Quit You Baby


Double Trouble


Otis Rush - All Your Love (I Miss Loving)

 

チェス時代の名曲


So Many Roads, So Many Trains

 

 それでは今日はこの辺で。